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さて、では読解力を付けるためには何が必要なのかを考えてみましょう。最近の子は文字離れが進んでいると言われていますが、確かに私の感覚からいっても7〜8年前の受験生に比べると、比較的解きやすい問題でもその答えを探せずに困っていることが多くなったように感じます。その原因はさまざまなものがあるのでしょうが、私
は良く採り上げられる学校のゆとり教育の問題よりも、家庭内でのコミュニケーションの不足や、多くのメディアの発展に伴って読書から離れつつあった頃の世代の親を持つことが、子供達の文字離れにかなりの影響を及ぼしているように思います。それでも子供達の中には読書を趣味とする子もまだまだたくさんいます。しかし、そうした子達でも国語の偏差値が高いとは言い切れません。実際「うちの子は読書が好きで、月に四冊は本を読んでいるのに成績はちっとも良くない」という声をよく耳にします。国語の学習には読書が一番であるということも確かに正しいと思いますが、これでは話が矛盾してしまいます。しかし、ここには“読み方”という大きな問題が隠れていて、これの差によって学力の差も生じるのです。
皆さんは自分の楽しみで小説を読むとき、どのように読んでいますか? そんなこと突然言われても困るでしょうが、実はこれこそ一般的な“読み方”をする人の答えでもあるのです。つまり、言われてみるとどう読んでいるのか分からない。または普通に読んでいるとしか言えないということです。これは何も意識せずに、ただ文字を目で追いながら、いわば「頭の中でテレビドラマを見ている」ようなものです。もちろん楽しみで読む「読書」はこれでかまいません。しかし、こうした読み方での読書を受験のための国語の読解力とすぐに結び付けてしまうのは危険です。文字を読むという基本的な作業は楽しみの読書にしても文章題を読むのにしても何ら変わりはないというものの、読み方は両者で大きく異なるからです。たとえば、あるテレビドラマで主役のAと脇役のBがホテルの一室で言い争いをしている場面があったとします。その部屋の片隅にテーブルがあって、その端にバラの花が一本ささった花瓶が置いてありました。皆さんはこうした状況ではどうしてもAとBのやりとりに目がいくでしょう。しかし、ここでわずかに映し出された花瓶が、後々大きな役割を果たすことになるとしたら、いかがでしょうか。文章を楽しみながら読んでいたら、やはりこうした部分は読み落としてしまう可能性があります。テレビドラマはこれを避けるためわざわざそうした部分をアップして視聴者に印象付けてくれますが、文章はそこまで親切ではありません。ましてや入試問題は極端な言い方をすると重箱の隅を突付いてくるようなことが多々あります。何となく楽しみで読んでいるだけでは、こうした細かいところまで目が行き届かずに、読んだつもりになりながら、実はさほどしっかり読めていないといったことが起こりうるのです。
それでは、入試のために細部まで意識しながらしっかり読むためにはどうしたらよいのでしょうか。以前教えていたある女の子は、文章を読みながら、読んでいるところに鉛筆で線を引いていました。一字ももらさずきちんと読むための彼女なりの工夫でしたが、実際その子はフェリスに合格しました。ただし、問題用紙は鉛筆の線で真っ黒になっていましたが。声を出して読むというのは私はあまり効率の良いやり方ではないと思います。これは受験勉強としてではなく、一般的な国語の学習として考えておいた方が良いようです。もちろん、しっかりと切れ目をとらえてメリハリのある読み方をすることが重要なのは当然の話ですが、家庭学習時の問題解きの際にこれをやってしまうと、しっかりと読むことに気をとられて、細部の読解を意識できなくなってしまう恐れがあるからです。初めから読みの得意な子供はそれでも問題ないでしょうが、それなら声に出して読ませなくても問題ない訳で、やはりあまり効果的な勉強法とは言えません。それより、各部の内容をしっかりと分析しながら、どういったことがどこに書かれているかを意識して読めるようになることが求められると思います。では、そうなるためにはどうすることを心がければよいのでしょうか。私は「段落分けをしながら読む」のがスムーズかつ効率の良いやり方ではないかと考えて
います。たえず「どこが切れ目になるのか」ということを意識しながら読むと、一行一行細かく読まざるを得ません。また、それまで読んだところとどういう違いがあるのかを考えることにもなります。是非一度やってみて下さい。ただし、これは「読みながら」が大切です。段落分け問題のためにやる訳ではないのですから、読み終わってから分けていては効率も半減してしまいます。また、分けたところが完全に合っていなくても、初めのうちはかまいませんし、段落数が多くなっても少なくなっても気にしなくて結構です。段落数の基本は入試問題で使われる文章の長さですと、せいぜい五段落程度までと考えておいて下さってほぼ問題ありません。初めから段落分け問題が設定されている場合は、それに合わせて考えてみると良いでしょう。
これはあくまでも一例ですので、文章のジャンルによっていろいろと自分なりに工夫して読み方を考えてみて下さい。
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[TEXT:吉田 高盛(YBS横浜ベイスクール)]
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