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 誰も知らない人はいないことだが、この国にはゴールデンウィークなるものがある。 四月二十九日の昭和天皇誕生日(現在は緑の日)に始まり、五月三日の憲法記念日、五日の子供の日と祝日が続く。 盆と正月を除けば、一年で一番休みの多いハッピーな週。かつては飛び石連休と言っていた。 個人的なことを言えば、これに、小学校時代は四月三十日が、中学時代は五月二日が開校記念日ということでさらに加わり、 本当に休日の多い楽な週であった。
 この飛び石連休を、映画業界が、興行収入の増加を狙ってゴールデンウィークと呼び始めたそうで、それが今ではすっかり定着してしまった。 休みの数は、数年前に、祝日に挟まれた日も国民の祝日となり、祝日が日曜と重なった場合には月曜日が振替休日となったことにより、 さらにまた、今年から学校五日制の完全実施で土曜日も休みになったことにより、一段と増加した。 今や、ゴールデンなのは一週間にとどまらず、十日ぐらいに膨れ上がった。
 ちなみに今年は、四月二十七日の土曜日から三連休、中三日おいて、五月三日から四連休というのが暦の上の休日であった。
 四月の末から五月の初めといえば、日本列島津々浦々、陽光うららかにして野山は新緑に萌え、 さわやかなること小鳥のさえずりに表れ、正に「目には青葉 山ホトトギス 初がつを」海の幸まで美味しい絶好の季節なのである。
 この時期に休みがこれほど与えられるとは、流石にこの国の人は粋な計らいをするものだ。 今年のゴールデンウィークはいつが休めると、ついこの間花見を堪能したことも忘れて、誰もがまた旅行に出かけたくなるのも無理はない。 中三日に休みを取れば、超豪華な十連休!!そんな浮かれたゴールデンウィークなのだが、 今年は今まで思ってもみなかったことに思いが至った。
 このゴールデン…は誰かの陰謀か?
 この国に生まれた者の特権を、どこでいかに満喫しようかとそれしか考えていない連休の真っ最中、五月三日が憲法記念日なのである。 今の日本国憲法は、自主的に作られたものではないとは言え、戦前の軍国主義の反省に立ち、 国民主権に基づいて平和と民主主義を希求するなかなか崇高な憲法なのである。 それをこともあろうに日本国政府がないがしろにし、他国の戦争に加担するわ、さらに自らの戦争に道を広げようとするわ、 国民の知る権利や表現の自由を奪おうとするわ… 今、憲法がまったく形骸化しつつあるのである。
 憲法記念日にこそ、終戦記念日以上に、戦後日本再出発の基本理念を思い出し、同じ過ちを繰り返さないことを決意し直す必要があるのではないだろうか。 それが浮かれた連休の真っ最中では、国の在り方を真剣に考えるには、いかにも不向きである。 ゴールデンウィーク構想は、国民主権の憲法を忘れさせ、空虚な飾り物にするための深謀遠慮ではなかったか? たった一日の祝日だったなら、あるいは、夏でも冬でも、もっと気候の厳しいときが記念日だったなら、 もっとはるかに真面目に、憲法の理念が尊重され、国の最高法規として遵守されてきたのではないだろうか。
 気候の好さと休日の多さに浮かれているうちに、この国はすっかり特定の支配者が牛耳る非民主国家になってしまう。 警戒警報発令! だが、今さら、ゴールデンウィークの開放感には抗し難いものがある。まったく姑息な人たちだ。

 さて私のゴールデンウィークはと言えば、仕事がら、毎年、二、三日しか休めない。 もっとも私は混雑と行列待ちが好きではないので、この時期にもっと休みを取りたいとも思わない。 ただ、世間に開放感が溢れているので、私も気持ちだけはオフ状態でこの時期をのんびり過ごす。
 今年最大のお出掛けは、日帰りで九十九里まで行ったこと。連れは女房。 足はJR、東京駅からは外房線。茂原駅からは友人が車で案内してくれる。 お宅で奥さま特製のうまいコーヒーをご馳走になった後、まずは一松海岸で浜辺を一走り。 それから白子(しらこ)町「源助」でいわし定食。その後二十年ぶりの知人を呼び出し蓮沼海浜公園で談笑。 さらに芝山古墳公園で、成田空港を飛び立ったばかりのジェット機の腹を見上げ…、 手前には数十匹の鯉幟が遊泳し… その間絶えず、笑っているような日差しと風に包まれていた。
 新緑の房総、懐かしい人…
 なんということはない無邪気な屈託のない時の流れ。至福の一時、命の洗濯。
 しかしそんな時の間に同時に暗い影が忍び寄っているのだ。 明日は我が身かというスキャンダラスな人達が、個人情報保護法(メディア規正法? 強者保護法?)や、 有事関連法(戦時国民協力法)の成立を着々と進めているのである。  日本、2002年5月、今、国が乗っ取られつつある。主犯、小泉純一郎。共犯、法案に賛成する国会議員。 こんないいところで、こんないい時期に、こんな残念なことが、起こりつつある…。いや、そんなことをさせてはなるまいぞ!!!

 [TEXT:高橋秀樹(個性を伸ばす教育研究室・伸び伸び塾)]

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